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アニメ映画監督。23年に及ぶ3Dアニメ制作の経験を有する。CCTV2006年春節(旧暦の大晦日)特別番組のオープニング映像制作、アメリカ版ゲーム『スパイダーマン』の宣伝映像監督を担当。日本からの招待を受け大阪アジア芸術祭の審査員を務める。北京テレビ局2011年アニメ春節特別番組監督、インターネットゲーム『傭兵天下』のCG宣伝アニメ監督などを担当。資金難などの苦難を乗り越え8年をかけて本作を制作。
1967年、東京生まれ。信州大学農学部森林工学科卒業後、建設コンサルタントとして公園緑地や都市緑化などの計画、設計に従事。その後1998年より三鷹の森ジブリ美術館の総合デザインを手がけ、2001年より2005年6月まで同美術館の館長を務める。2006年公開のスタジオジブリ作品『ゲド戦記』でアニメーション映画を初監督。2011年『コクリコ坂から』で2作目の監督を務める。2014年秋から翌春にかけて、NHK・BSプレミアムでTVアニメーションシリーズ初監督作品「山賊の娘ローニャ」(制作・著作:NHK、ドワンゴ)を発表。2004年度芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。2016年、世界の優れたテレビ番組に贈られる国際エミー賞で「山賊の娘ローニャ」が子どもアニメーション部門最優秀賞を受賞。
『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』がようやく日本で公開されます。中国での公開前、僕は自分の子供が生まれるのを待っていた時のことを思い出していました。あのただ待つだけの間のもどかしさ、自分の宝を世に出せる誇らしさ、期待や不安、焦り。とにかくいろいろな気持ちが、嵐のように僕の心に渦巻いていました。そして今その子供が成長し、一人で海外に行くと言い出しました。しかもそこは、競争がもっと激しく傷つくこともたくさんあるだろうところです。やはり僕はまた子供の未来を心配し、そして期待をする、少し過保護な父親の気持ちであります。
日本のアニメ業界は世界で一番成熟していると思います。僕自身、日本のアニメが大好きです。日本のアニメには世界のどの国のものより深刻な主題と大人が観るにふさわしい表現があり、たくさん参考にすべきところがあります。『西遊記』を制作している時、目指したのは中国の伝統的な美学を改めて突き詰め、物語の背景として生かすことでした。東方文化の魅力・美は日中両国の文化に共通するものです。『西遊記』に託した僕らの思いが、日本の皆さんの心に届きますように。
僕は敬愛する日本の映画ファンの皆さんにこそ、僕らの『西遊記』のテーマ、意図を正確に伝えたいと考えていました。それにはどうすればいいのか?これは日本での公開にあたり、僕らが一番重要視していたことです。ここで宮崎吾朗さんが日本語吹替版の制作監修を引き受けてくださったことに、本当に感謝しています。
吾朗監督と初めてお会いしたのは、昨年の東京藝術大学大学院のイベントでの対談でのことでした。その打ち上げの際に、僕は思い切って日本語吹替版の制作監修と、主題歌と挿入歌を新たに作ってほしいと彼に直訴しました。吾朗監督はこの突然の依頼を、ただの思いつきと思ったかもしれない。しかし実は僕にとってこの「合作」は、長年の夢でした。吾朗監督の才能が日本語吹替版に加わることで、『西遊記』が意味することを正しく日本の皆さんに伝えることができると信じています。吾朗監督、本当にありがとうございました。
中国での『西遊記』のファンは、長く赤い布を首に巻き裾をたなびかせている悟空の姿を愛しています。この赤い布が日中両国の映画ファンの心をつなぐような絆になることを願っています。文化を結び、情感を結び、国境を越えて、アニメを愛する心を結びますように。